初めてL.A.を訪れたのは、まだ小学生の時だった。そしてそれが初めてのアメリカ本土上陸であった。まだ、西海岸までは日本から直行便がなく、ホノルル経由の長い旅だった。それだけにここは、僕にとって日本から遠く遠く離れた夢の国だった。とにかく、目に入る物すべてが大きかった。レストランの山盛りフレンチフライ、31種類も選べる大きなアイスクリーム、大きなボトル入りコーク、そして1キロはありそうな分厚いステーキ。
移動はどこへ行くのも、車。そしてほとんどがフリーウエイ。そして、フリーウエイで一番印象に残ったのが大きな大きな看板。長距離の移動が多いここL.Aは同じような景色が続く。そして車の窓から、いつも目に飛び込んでくるこの看板。約1ヶ月間、父の運転する車の中から窓の外を見るのが日課のようだった。
最初にL.A.を訪れてからはアメリカが大好きになった。テレビでやっているアメリカのテレビドラマは、夢中になって見た。そこには僕が見たあの景色が何度も登場した。再び、L.A,を訪れたのはそれから10年以上経ってからだった。そして、フリーウエイから見る景色は10年以上前とはあまり変わらなかった。そのときはすでに自分で車を運転させていた。一瞬、子供の時に見た画像と今の画像がオーバーラップした。もう一度、誰かに運転してもらい、助手席であのときのように窓の外を見てみたくなった。